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娘から教わったこと

家ねっと代表でエスコートランナー役の中野です。

今年は
寒さの所為でしょうか、

インフルエンザを筆頭に
色んな病気が猛威を振るい、

病院は
テンテコ舞いの大忙しのようです。

受信した病院で
忙しく駆け回る看護師さんを見ながら、

私は、
昔を思い出していました。

大昔、
私は看護婦として、

社会人人生を歩み始めました。

デモシカ看護婦で、
中々仕事に燃えられずにいた私の転機は、

長女の出産でした。
生まれたばかりで、

泣き止まぬ娘を抱きながら、
この命を消してなるものか。

と、思ったのです。
私が、命の重みを初めて感じた一瞬でした。

その時から、
私は看護婦としての使命を強く感じ始めたのですが、

でも、
その想いとともに

もう小児科では働けないな。
とも、思いました。

子供の死や苦しむ姿と
向き合えないと思ったのです。

その後、
私は内科一筋で看護婦をし、

娘も3人になりました。

そして、
次女が小学校2年生の時、

200万人に一人と言う
大病にかかりました。

助からない確率が高いし、
助かっても失明するかもしれない。

と、先生から言われました。
娘の全身の皮膚がただれ、

全身火傷のような状態で
高熱が続きました。

私は、不思議と、
娘が死ぬとは思いませんでした。

絶対助かると
信じていました。

でも、
毎日行われる全身のガーゼ交換は

消毒薬の痛みが伴い
娘は大泣きです。

私は、
廊下でその声を聞いていることができず、

ある日、
看護婦さんに頼んで、

ガーゼ交換の時間、
病院の近くの喫茶店に行きました。

友人の看護婦さんは、
『少し、気を抜いたほうがいいよ』

と、
言ってくれました。

でも、
コーヒーを飲んでいても

気持ちは晴れません。
私は、ガーゼ交換が終わった頃、

娘の病室に戻りました、
その時、

娘は目を開け、
『お母さん、コーヒーを飲んできたでしょ』

と、
言ったのです。

コーヒーの匂いがしたのですね。
私は、

逃げた自分が恥ずかしくなりました。
娘が辛さと戦っている時に、

逃げてはダメだ。
その日から、

娘のガーゼ交換の時間と
向き合えるようになりました。

娘は
お医者さん、看護婦さんや

病院の皆さんのお力と
家族や学校の先生、お友達の娘を思う心のお陰で、

奇跡的に命が助かり、
失明も免れました。

私は娘から
辛くても逃げてはいけない、

必ず、思いは天に通じるのだと、
教わった気がします。

その次女も
結婚して3人の子どもの母になり、

今は長野県で、
養護学校の教師をしています。

病院で行き交う、
心配そうな表情の患者さんや家族の皆さんを見て

思い出した、
娘に教わった出来事です。

エスコートランナー役の中野でした。

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